| かほく市 内日角の民話
内日角の"いすけさ"のお祖父さんは、毎日毎日村から村へと馬車を引いて荷物を運んでいました。
いつもお祖父さんの腰には手拭いと一緒につやつやと光る象牙の付いた煙草(たばこ)入れが下がっていました。
それは、お祖父さんのお守りだったのです。
ある日荷物が無く空馬車を引いていると子供達が乗せて欲しそうについて来ました。
そう内シクシク泣いている一人の子がいました。
「どうした?」とお祖父さんが尋(たず)ねると、「喉(のど)に魚の骨が掛(か)って痛いのや」と言うのです。
どうしたものかと思ったお祖父さんは、お守りの象牙で「骨よ取れよ、痛みよ止まれ」と言いながら、その子の喉を何遍も何遍もさすってやりました。
するとどうでしょう、骨がスーと取れたのです。
象牙の不思議な力に子供達もお祖父さんもびっくりしました。
又、ある時は村人が清水(しょうず)端(ばた)で苦しんでいるムジナを見つけました。
このムジナは村人を馬鹿(ばか)したり脅(おど)したり、散々(さんざん)人々を困らせていましたから「罰(ばち)が当たったんや」と面白半分に見ていましたが、あまりに苦しんでいるので可哀相(かわいそう)になり、"いすけさ"の不思議な象牙の事を思い出して、借りて来ました。
象牙でムジナの喉を何回も何回もなでてやりました。
するとどうでしょう、ムジナはヨロヨロと歩き出し水を飲み始めたのです。 喉の骨が取れたのです。
ムジナは、ポロポロと涙を流し頭を下げて去って行きました。
それからは、ムジナの悪さは無くなりました。
この不思議な象牙の話は、人から人へと伝わり遠い所からも象牙を借りに来るようになりました。
昔は、河北潟の鮒(ふな)を良く食べたので、喉に小骨が掛かった人が多かったのです。 |